こんにちは、サルビア整骨院の小泉です。

 

今回は投げ方の基礎的な部分に対して自宅で行える練習方法をご紹介します。

 

・野球を始めて間もない方

・野球肘や野球肩がなかなか良くならない

・投げない期間をもうけても痛みがでる

・・・・

などの方にはぜひとも見ていただきたい内容となります。

 

 

今回、投げ方の練習方法についてご紹介しましたが、【投げる】という動作についてご紹介します。

 

野球における「投げる」動作の全身メカニズム

1. 投げる動作は「全身運動」

多くの人は「投げる=腕の動き」と考えがちですが、実際には違います。腕だけでボールを投げようとすると力は出ず、肩や肘を痛めやすくなります。
投げる動作の本質は、 下半身で生み出したエネルギーを順番に体幹 → 肩 → 肘 → 手首 → 指先へと伝える「力の伝達」 にあります。

つまり投げる動作は「全身のリレー」です。バトンを落とさずに最後までつなげたとき、初めて速く・正確に・力強く投げられます。


2. 投げる動作の流れ(6つのステップ)

投球動作は大きく6つのステップに分けられます。

  1. ワインドアップ(準備)

  2. レッグアップ(足を上げる)

  3. ストライド(重心移動)

  4. コッキング(肩を引く・腕をためる)

  5. 加速期(腕を前に振り出す)

  6. フォロースルー(投げ終わりの動き)

それぞれを詳しく説明していきます。


3. ワインドアップ(準備段階)

投げる前に体をリラックスさせ、リズムを整える動作です。

  • 体の状態:両足で地面をしっかり踏み、重心は中央にあります。

  • ポイント:力んでしまうと次の動作にスムーズにつながりません。リラックスしつつも、次に力を発揮できるよう「バネをためる準備」をする段階です。

  • 一般的な感覚例:ゴムを引っ張る前に、まず手に持って整えるようなイメージです。


4. レッグアップ(足を上げる)

ピッチングで特徴的な動作、「片足を高く上げる」場面です。

  • 体の状態

    • 軸足(後ろの足)に全体重がかかります。

    • 反対側の足は持ち上がり、バランスをとるためにお腹と背中の筋肉が働きます。

  • 力が加わる場所

    • 特に 軸足の太もも(大腿四頭筋・ハムストリングス)とお尻(大殿筋) に強く力が加わります。

    • ここでしっかり支えることで、次の「踏み出す動き」に力をためられます。

  • 一般的な感覚例

    • 高い台からジャンプする前に、片足でしっかり踏ん張る感じ。


5. ストライド(重心移動)

足を前に踏み出して、重心を前へ移動する段階です。

  • 体の状態

    • 上げていた足を前に伸ばし、地面に向かって降ろしていきます。

    • 重心は少しずつ前方へ移り、体が前進します。

  • 力が加わる場所

    • 軸足で地面を強く押し出すことで推進力を生みます。

    • 踏み出す足は「ブレーキの役割」を担い、体が流れすぎないようにストッパーの役目を果たします。

  • 一般的な感覚例

    • 自転車をこぐとき、片足で地面を強く蹴って進むイメージに近いです。


6. コッキング(腕をためる)

腕を後ろに大きく引き、投げるための準備をする段階です。

  • 体の状態

    • 上半身は軽くひねられ、胸がキャッチャー方向から背中方向へと回転します。

    • 肩は外旋し、肘が少し上がります。

  • 力が加わる場所

    • 腹斜筋や背中の広背筋が働き、体幹に「ねじれ」を作ります。

    • このねじれが、バネのように次の加速期で一気に解放されます。

  • 一般的な感覚例

    • 弓を大きく後ろに引きしぼる瞬間に似ています。


7. 加速期(腕を振り出す)

投げる動作の中で最も速い動きが出る瞬間です。

  • 体の状態

    • 骨盤が先に回転し、その後に胸・肩・腕が順番にしなります。

    • 最後に肘から先がしなるように加速します。

  • 力が加わる場所

    • 下半身で作った力を、体幹、肩、腕、手首へとリレーのように伝えていきます。

    • 特に肩関節まわり(回旋筋腱板)と肘に大きなストレスがかかります。

  • 一般的な感覚例

    • 鞭をしならせて先端が「パシッ」と音を立てるのと同じ原理。体のしなりを利用して、ボールにスピードを与えます。


8. フォロースルー(投げ終わり)

投げた後、体を止める段階です。

  • 体の状態

    • 投げた腕は自然に下に振り抜け、上半身は前に大きく倒れます。

    • 踏み出した足が体を支え、バランスを保ちます。

  • 力が加わる場所

    • 股関節・太もも・体幹に強いブレーキがかかります。

    • ここでしっかり減速できるかどうかが、肩や肘のケガ予防につながります。

  • 一般的な感覚例

    • 全力で走った後に急に止まると転びそうになる、それを足と体幹で支えるイメージ。


9. 投げる動作の本質:「力を順番につなぐ」

投げる動作で一番大切なのは、 「力をどこから生み、どこへ伝えるか」 です。

  • 下半身で力を作る(地面反力)

  • 体幹でためる(ねじれとしなり)

  • 肩 → 肘 → 手首 → 指先へと解放する

もしこの順番が崩れると…

  • 腕だけで投げようとして肩を痛める

  • 踏み出す足が弱くて力が逃げる

  • 体幹が使えずにスピードが出ない

といったトラブルが起きます。


まとめ

野球の投げる動作は、一瞬のうちに全身の筋肉と関節が連動する複雑な運動です。

  • 足を上げた時 → 軸足の太ももとお尻が踏ん張る

  • 踏み出す時 → 下半身で前進の力を作る

  • 腕を引く時 → 体幹にねじれをためる

  • 腕を振る時 → 下半身から順番に力を伝える

  • 投げ終わり → 下半身と体幹でブレーキをかける

このように 全身の連動が正しく働くと、速く・正確に・ケガなく投げることが可能 になります

 

 

サルビア整骨院